Oh Happy Day
エドウィン・ホーキンスによってリリースされた「Oh Happy Day」。この曲は、1969年の全米チャートで最高第4位、イギリスとアイルランドのチャートでは第2位になったほか、カナダ、フランス、ドイツなどで大ヒットを記録しました。黒人が歌うゴスペルソングが、このようにチャートの上位に入ることは前代未聞で、世界中に黒人ゴスペルを認知させるきっかけになったばかりではなく、ゴスペル以外のジャンルのアーティストにも多大な影響を与える1曲となりました。「Total praise」の作曲者でも知られるゴスペル界の巨匠リチャード・スモールウッドは、エドウィン・ホーキンスが2018年に亡くなった際に、彼の功績を称え、次のようにコメントをしています。
「エドウィンは、これまでのゴスペル・ミュージックの様相を一変させ、ゴスペルを新鮮な響きを持ったジャンルに変え、世界中に広めた。」
そんな「Oh Happy Day」ですが、元々は、18世紀にイギリスの聖職者が作曲した賛美歌がモチーフとなっています。
〜賛美歌のサビの歌詞〜
Happy day, happy day,
When Jesus washed my sins away.
He taught me how to watch and pray,
And live rejoicing ev'ry day,
Happy day, happy day,
When Jesus washed my sins away.
「Oh Happy Day」の 歌詞をご存知の方は「Oh Happy Day」が、この賛美歌のサビの歌詞をほぼ引用して作られている事がわかると思います。違うところは、「fight」という言葉が次のように付け加えられている点です。
〜Oh Happy Dayのサビの歌詞〜
He taught me how to watch, fight, and pray.
これは差別、偏見といったものと闘うアフロアメリカンの意志を「fight」 (闘う、努力する、頑張る)という言葉で表したと言われています。白人が作曲した賛美歌をモチーフに、黒人達の苦しみを励ますような新たな意味が曲に吹き込まれました。
また、この曲は、1993年公開の映画「天使にラブソングを2」の劇中歌として使用されたことで、世界中で再びヒットする事になります。この映画がきっかけで、日本を含めた国々で、ノンクリスチャンにもゴスペルミュージックが愛されるムーブメントが起こり、「Oh Happy Day」は、日本で最も愛されるゴスペルソングの1つとなりました。そして日本にも沢山のゴスペルクワイアが誕生し、この曲は、今でも全国各地で歌われ続けています。
〜Oh Happy Dayの日本語訳〜
おお、幸せなる日
神が私の罪を清めたもうた
おお、幸せなる日
神は教えたもうた
調和を、努力を、祈りを
そして喜びに満ちた自由な日々を
ノンクリスチャンの人達が、どのような気持ちでこの曲を歌うか。自分自身の救いのために、誰かを励ますために、あるいは日々の暮らしに感謝を込めて。歌声には歌い手の魂が宿ります。
白人の賛美歌から黒人のゴスペルへ進化を遂げ、その後、人種や文化、そして宗教まで飛び越えて愛され続ける存在となったこの曲は、まさに奇跡の1曲といえるでしょう。
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