映画「パーソナルソング」
〜介護施設という社会から断絶された中で、正気を失っている認知症を患っている方が、昔聴いていた音楽を耳にすることにより、いきいきと踊り歌い出し、忘れていた過去のことを話し出す。その溢れるパワーに胸が熱くなりました。〜
先日、映画のタイトルとこのレビューに惹かれ、「パーソナルソング」というドキュメンタリー映画を見ました。映画は、アルツハイマー病患者の症状を、その人が思い入れを持つ音楽(パーソナルソング)の力で劇的に改善させるという内容で、音楽療法の効果を普及する目的と同時に、認知症患者の増加に伴う投薬ビジネスや介護施設の病院化について警鐘を鳴らす作品でした。
(オープニングシーン)
〜監督は90歳の老女に問いかける。「あなたはどんな子供だった?」「……まったく思い出せないわ」「何を思い出せないの?」「……若いころにどう過ごしていたのかが全く思い出せないわ」
そんな彼女に、iPodでルイ・アームストロングの「聖者の行進」を聞かせてみる。すると老女の目がキラキラと輝き始めた。「これはルイ・アームストロングね、学生時代を思い出すわ。母に内緒でコンサートに行ったの!」ひとつの歌から紡ぎだされる思い出は次々にあふれ、彼女は記憶を呼び覚ました。〜
今年もトレジャーツリーは、8月に特別養護老人ホームへの訪問公演を計画してます。高齢者の方に馴染みのある夏の唱歌を中心に歌いますが、聞いてくださる方の思い出の曲であったらいいなと、この映画を見て改めて思いました。
私は、好きな音楽アルバムの中で「無人島に持っていく10枚」というのを考える事が好きでした。年齢を重ねるにつれて、そのリストは少しずつ変わっていき、いつの日かダウンロードやストリーミングで音楽を聞く時代になって、その事について考える事もなくなりました。自分にとってのパーソナルソング。今、改めてそれについて考えると、トレジャーツリーで歌っている曲は、間違いなくそのリストに入ってます。
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